アダプティブスクリーニング
AMスクリーニングの問題点
- トーンジャンプの発生:ハイライト側,シャドウ側で最小ドットを用いるのでドットがつぶれてしまう.ドットの接触が始まる階調でジャンプが発生する.
- 細部の再現性が低い.線切れが発生する.
- 2次色・3次色でロゼッタ(短周期モアレ)が発生する.
- 長周期モアレが発生.特に高速輪転機でモアレが発生しやすい.
FMスクリーニングの問題点
- 多くのノイズ成分を含んでいるので単色がざらつく.
- 複数の版の掛け合わせの考慮がなされていないので,2次色3次色がざらつく.
- トーンジャンプが発生する.ハイライト側,シャドウ側で小さなドットを用いるので,ドットがつぶれやすい.
- 青かぶり:網点が細かいので,CMYの刷り順だとC版に比べて,M版,Y版が紙に転写されにくい.C版がMY版に比べて相対的に濃度が高くなるので,青かぶりが発生する.
- MY版のインキが紙に転写されず,ブランケット胴に残りやすくなり,頻繁なブランケット洗浄が必要.
- 周期ムラが発生する.小さい周期(100~300ピクセル程度)のパターンを持っており,パターンのつなぎ目が目立つ.
- 周期ムラの分析
- パターンの周期とプレートセッタのヘッドの大きさが干渉し,バンディングが発生しやすい.
Adaptive Screeningの特徴
- ノイズ成分が少なく,単色がなめらか.
- 複数の版の掛け合わせの考慮して網点がつくられるので,2次色,3次色がざらつかない.
- トーンジャンプが発生しない.ハイライト側,シャドウ側で大きなドットを用いるので,つぶれない.
- 青かぶりが発生しない.網点が粗いので,M版Y版が紙に転写されやすい.
- バンディングが発生しない.
- 印刷環境に合わせて,ハイライト側・シャドウ側の最小ドットサイズ,中間階調の溝の幅,線数を自由に設定することができる.
AM175線,FM Screening,Adaptive Screeningの比較
- AM Screening : Harlequin RIPの楕円形状の網点
- FM Screening : 現在もっとも良く用いられている,某社のFMスクリーニング.ハーフトーン領域のドットピッチ20ミクロン.
- Adaptive Screening : 一般商業印刷をターゲットに設計.ハーフトーン領域のドットピッチ30ミクロン.
- 拡大画像:原画像を解像度変換せずそのままRIP処理.(つまり,出力解像度が2400dpiのとき,原画像の解像度は2400dpi)
- 実解像度画像:出力解像度2400dpiに対して,原画像を350dpi換算でRIP処理.
- ただし,RIP処理後に解像度を2400dpiから1200dpiに落としています.
比較結果
- AM175線は目障りなロゼッタが目立ちます.
- FM Screeningは,微小ドットを用いており,ざらつきが目立ちます.(特に,青空や背景)
- Adaptive Screeningは,FM Screeningより大きいドットを用いているにもかかわらず,階調再現がなめらかです.ドットが大きいので拡大すると粗く見えますが,実際に印刷すると個々のドットは見えずになめらかに見えます.ドットが大きいので,印刷も容易です.
画像をクリックすると拡大画像を見ることができます.拡大画像は(できればPhotoshopなどを用いて)等倍で見てください.縮小されると,大きくざらついて見えます.
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AM175線
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FM Screening
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Adaptive Screening
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AM175線
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FM Screening
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Adaptive Screening
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AM175線
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FM Screening
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Adaptive Screening
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AM175線
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FM Screening
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Adaptive Screening
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CMY50%等量
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AM175線
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FM Screening
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Adaptive Screening
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AMスクリーニングとAdaptiveスクリーニングの実際の印刷(新聞印刷)での比較
(画像をクリックすると拡大します.)

Adaptiveスクリーニングのスクリーニンサーバによる処理
Adaptiveスクリーニングは,スクリーニングサーバによりテスト運用可能(下図)
(解像度1200dpiの新聞印刷の場合.商業印刷の2400dpiなどにも対応可能.)

RIPソフトウェアで出力したコンポジット8bitTIFFを4版分(CMYK版)の1bitTIFFに自動的に変換します.
評価用にインターネット経由による運用(スクリーニングサーバのパスワード発行)またはスクリーニングサーバの貸し出しを行います.
連絡先:nakano@cs.hiroshima-u.ac.jp (TEL:082-424-5363)