研究概要

さまざまな場面で,大量のコンピューティングデバイスが用いられるようになってきた. 一般向けパーソナルコンピューターにおいても,1つのチップに2~8個のプロセッシングコアが搭載 されるようになり,複数の処理を同時実行することによる高速化が可能になってきている. また,グラフィックス処理用のチップも,複数の汎用プロセッサが搭載され,並列処理によるリアルタイム処理が行なわれている. このように,複数のプロセッサを同時に用いることにより,これまで不可能であった計算処理を 短時間で行なう並列コンピューティングの研究が今後ますます重要になってくる.

一方,分散コンピューティングにより,多くの人たちが恩恵を受けている. 例えば,Googleなどの検索エンジンにより,インターネット上にある情報の 検索が一瞬のうちに行なうことができる. また,P2P技術を用いて,必要なファイルを最近傍のクライアントから取得することにより, 通信帯域の節約が行なわれている.

大量のコンピューティングデバイスが利用可能となり,情報処理の分野におけるパラダイムシフトが起きつつある. その一つがクラウドコンピューティングと呼ばれるものである. Webメールをが身近なクラウドコンピューティングのわかりやすい例である. 従来,メールの読み書きを行なうには,ユーザーのパソコン上でOutlook Expressなどの メールクライアントを動作させていた. メールクライアントは,メールサーバーにあるメールのデータをパソコンにダウンロードし, それを表示するものである. よって,メールデータは,ユーザーのパソコンに保管されているため,ディクスクラッシュによるメールの喪失の危険性がある. また,メールクライアントの最新バージョンへのアップデートなどの管理はユーザの責任において行なう必要があった. しかし,現在では,GmailやYahooメールなどのWebメールが主流である. これは,メールのデータはメールサーバーに置かれたままであり,メールの表示はブラウザを通して行なう. つまり,メールの送受信や操作はメールサーバー内で完結しており,ユーザーはクライアントパソコンを用いて,メールの表示や操作を行なうだけである. ユーザーはメールソフトやデータの管理の必要がなく,クライアントも処理能力の低いもので十分である. 現在幅広く用いられているSNS(ソーシャルネットワークサービス)も,クラウドコンピューティングの一種と考えられる.

クラウドコンピューティングでは,Webメールだけでなく,さまざまなアプリケーションプログラム をサーバーで実行させ,ユーザーのパソコンは,その表示や操作のみを行なうのにのみ用いることを想定している.ユーザーのパソコンは,処理能力が低いものでも十分である. しかし、クラウドコンピューティングで複雑なアプリケーションを実行させるためには, サーバーとユーザーの持つクライアント間を高い帯域をもつ分散ネットワークで 接続する必要があり,また,何百万人もの同時接続を処理できるような能力をサーバーは持つ必要がある. 現在の技術では,Webメールなどの軽いアプリケーションのみが実用化されているだけである. より複雑なアプリケーションに対応するためには,並列コンピューティングによる超高速計算と 分散コンピューティングによる高速通信処理技術が不可欠となってくる. 本プロジェクト研究センターでは,このような並列分散コンピューティングの基盤技術の系統だった研究を行なう.

研究概要.txt · 最終更新: 2010/08/06 08:07 by nakano
 
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